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理系大学院生がおすすめのミステリ小説を中心に紹介していく雑記ブログ

「紅蓮館の殺人」-阿津川辰海-【燃える館、生存と真実、探偵の選択は?】あらすじ&感想

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こんにちは、マサキです!

今回ご紹介する小説は阿津川辰海さんの「紅蓮館の殺人」です

 

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はい…こちらかなり特殊な作品でした…

 

特殊な館に迷い込んでしまった主人公たちは殺人事件に遭遇します。

しかしこの事件何かがおかしい…

 

こちらの作品の魅力をわかりやすく紹介したいと思います!

 

それではさっそくまいりましょう!

 

 

あらすじ

山奥に隠れた館・落日館には、隠居したミステリ小説家、財田雄山(たからだゆうざん)が住んでいる

 

財田の大ファンである主人公・田所とその友人・葛城は、高校の合宿で偶然、落日館の近くを訪れる。

その際、二人は財田に会うために合宿所を抜け出し、落日館へ向かう計画をたてる

 

だが、落日館へ二人が向かう途中に落雷による山火事に遭遇し、道中で出会ったぶっきらぼうな女性・小出とともに、落日館へと避難する。

 

落日館には財田雄山に加えて、息子の財田貴之、孫のつばさ、文男が住んでいた。

 

そして、同じく山火事から逃げてきた保険調査員・飛鳥井とその契約者・久我島が落日館へと避難し、落日館には計九名が集うこととなった。

 

火の手が館へと迫る中、田所はつばさと仲良くなり、ともにこの館から生きて脱出することを約束する。

 

「だから、僕らはここから生きて帰るんだ」

つばさはしばらく真剣な表情で僕の顔を見つめた後、耐えきれなくなったように笑い始めた。僕も一緒になって笑った。

「田所君、結構強引なんだね」

「気に障った?」

「ううん、全然」

彼女は首を振る。そうして彼女は小指を差し出す。「約束」と彼女が言って、意味を理解する。

僕は自分の小指を彼女のそれに絡めた。

「じゃあ、約束したからね」

「ああ。約束だ」

 

『紅蓮館の殺人』p.104

 

だが翌朝、吊り天井で圧死した彼女の無残な死体が発見される。

 

これは事故か、殺人か。葛城は真相を突き止めるため推理を始めるが、住人とほかの避難者は脱出を優先すべきだと語る。

 

館焼失までのタイムリミットは35時間。

生存と真実、果たして物語の結末とはいかに――

 

王道の館もの?

 

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この作品は山火事によって隔離された館でのクローズドサークルですが、火の手が徐々に館に迫り、主人公たちは命の危険にさらされています

 

なのでこの館に閉じ込められた登場人物たちはこの館にいる犯罪者とは別に、この迫りくる火から逃げなければいけないという状況です

 

まさに火と殺人のダブルパンチ!

 

探偵役である葛城と助手の田所は真相をあばくか、姿の見えない殺人者が含まれている生存者全員で助かるために協力するかの選択に迫られます

 

ここが従来のクローズドサークルとは違う魅力!

葛城たちの葛藤が丁寧に描写されているので死と隣り合わせの緊張感が読んでいてひしひしと伝わってきます

 

探偵VS元探偵

探偵の定義とは何か?

 

このテーマがこの作品の端々で提示されます。

 

自分自身の好奇心のために、なぞを解くのが探偵なのか?たとえ誰かを巻き込んだとしても――

 

本作の探偵役は高校生の葛城です。しかし彼は高校生らしく自分の行動に迷いがあり、彼なりの葛藤があります。

 

そして彼以外にも過去、探偵として活躍していた人物がいました。

元探偵は葛城に対して様々なことを問いかけます。

 

探偵の定義とは何か?この言葉を幾度となく問いかけられて、葛城が出す答えとは何なのか?ぜひご自身の眼で確かめてみてください!

 

仕掛けだらけの館

 

はい、きました、僕たち大好きな奇妙な館です!

 

この作品に出てくる館にも謎の仕掛けが施されています

今回の殺人に使われた釣り天井もその仕掛けのうちの一つですが、まだまだこの館にはありとあらゆる仕掛けが…

 

もちろんヒントも所々に散りばめられているので、謎解きを楽しみながら物語を進めることができます!

 

そして物語はクライマックスへ!

 

燃える館でのクライマックス

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次々とあばかれる真相と刻一刻と迫りくる火の手、真相と生存の二者択一の中

数多の真相の先に、田所と葛城を待ち受けていたのは一体何なのか?

 

【館焼失まで残り0分】

 

まとめ

かなり緻密に練り上げられた作品でした!本格ミステリも唸りを上げる最高のメイントリックとそれに付随するまさかの展開連続!

 

ぜひ読んでみてはいかがでしょうか?

 

今回は「紅蓮館の殺人」-阿津川辰海-を紹介させていただきました!

 

それではみなさまよいミステリ小説ライフを!