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理系大学院生がおすすめのミステリ小説を中心に紹介していく雑記ブログ

「葉桜の季節に君を想うということ」 -歌野昌午ー 【二度、三度読み返したくなる徹夜本】あらすじ&感想

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こんにちは、マサキです。

 

今回ご紹介する小説は歌野昌午さんの「葉桜の季節に君を想うということ」です

 

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  • 第57回日本推理作家協会受賞
  • 第4回本格ミステリ大賞受賞
  • このミステリーがすごい2004年版第1位
  • 本格ミステリベスト10 2004年版第1位
  • 週刊分春 推理小説ベスト10 2003年度第2位

 

2004年の章を総なめにした本作

 

歌野昌午さんの代表作でもあるので、知っている方も多いのではないでしょうか?

 

この本のオススメ度 A

 

それではさっそくまいりましょう!

 

 

 

あらすじ

ザクッ、ザクッ、ザクッ。

夜の闇の中、男は墓を掘り起こしている。

男がゆっくり振り返る。シャベルを動かす手は休めず、首だけをそろそろと後ろに向ける。

雲が切れて丸い月が覗く。 白い月が男の顔を照らす。

「葉桜の季節に君を想うということ」p.11

 

 

 

「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵、成瀬将虎

彼は自殺しようと地下鉄に飛び込んだ女、麻宮さくらを救出する

そしてこの出会いが将虎の運命を変えていく

 

ある日、フィットネスクラブで将虎が体を鍛えていると、同じ高校出身のキヨシから思いを寄せている久高愛子の依頼を受けてほしいと頼まれる

愛子から

「おじいさんがひき逃げされたの」
「保険金殺人かもしれない」

久高隆一郎の死の真相と

隆一郎を死に陥れた疑惑があり、高い金額で布団や健康食品を売りつける
宗教団体『蓬莱俱楽部』の調査を依頼された。

 

場面は変わり、二年前、将虎が港区でパソコン教室の講師をしていたころ

 

当時の生徒である高齢者の安さんと出会う

 

そして将虎は、安さんに行方が知れない娘の調査を頼まれる

 

絡み合うそれぞれの物語、果たして結末は?

 

感想

精密な叙述トリック

この作品の最大の魅力は序盤からの伏線を最後のどんでん返しで回収する叙述トリックです

 

読者の「思い込み」を利用した叙述トリックなので注意深く読んでいけば気づけるかな?と思います

 

終盤はどんでん返しの連続で読んでからもう一度再読すること間違いなし!

 

綺麗に騙されたい!というひとに是非オススメです!!

 

 

 

 

 

 

以下ネタバレ

 

 ここからは物語の核心に触れていきます

 

未読の方はブラウザバック推奨です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

登場人物たちの正体

実はこの作品、登場人物のほとんどが高齢者である物語

 

成瀬将虎、70歳

麻宮さくら、70歳

芹澤清、63歳

久高愛子、68歳

 

つまり、読者である僕たちが思い込みによって登場人物の年齢を20代から30代であろうと思っていたのだ

 

物語終盤で読者はやられた!と悔しがることでしょう、僕も完全にしてやられました笑

 

 このような錯覚を起こしたシーンは数多くあります

 

  • 冒頭の将虎セックスシーン
  • 清が高校に通っているということ
  • 愛子のおじいさん呼び

 

まず冒頭、将虎のセックスシーンから始まります、この時点で将虎が若者だと錯覚したはず

 

ただ再読する際、この場面で嫌悪感を抱く方が多いです。そりゃあ、おじいさんのセックスシーンなんて見たくないわ!と思います笑

 

 次に清が高校に通っていること、これは定年退職した清が定時制の高校に入りなおす、というからくりがありました…

 

ここちょっとグレーですよね笑、普通に読んでいたら定時制なんてわからないですから笑

 

愛子が隆一郎を「おじいさん」と呼んでいること、これは単純に呼び方の問題で夫婦になったら自分の妻をお母さんやお父さんと呼ぶ人もいるので愛子は隆一郎を「おじいさん」と呼んでいたというからくりでした!

 

古屋節子と安藤士郎

 もう一つのぶっ飛びトリックは

 

古屋節子=麻宮さくら

 

 このトリックについては具体的な伏線が文中に散りばめられていないので推理するのは不可能と思います

 

だからこそ!この事実が明らかになったときはかなり驚きます

 

そして、冒頭の墓を掘るシーンの回想、ここは安藤士郎のものだと思わせておいて実は将虎の回想

 

安さんの自殺を意味のあるものとするために、将虎は安さんに成り代わり年金の不正受給をして、娘の千絵ちゃんに渡していたのでした

 

終盤の将虎の独白によって明かされるこの真相はかなり胸をうたれました

 

まとめ

 

この小説は騙されることがたまらない人、どんでん返しを求めている人に是非オススメしたい小説です

 

再読することによって、最初から注意深く読んでいくことで新たな発見があると思うのでぜひ読んでみてください!

 

今回は「葉桜の季節に君を想うということ」 -歌野昌午ー を紹介させていただきました!

 

それではみなさまよいミステリ小説ライフを!