マサブク ~masaki books~

理系大学院生がおすすめのミステリ小説を中心に紹介していく雑記ブログ

「シャドウ」 -道尾秀介-【母親を失った少年の成長劇】あらすじ&感想

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こんにちは、マサキです。

 

今回ご紹介する小説は道尾秀介さんの「シャドウ」です

 

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第7回本格ミステリ大賞受賞作。

2007年 このミステリーがすごい第3位

本格ミステリベスト10第6位

 

凄まじい賞の数々、さすが道尾秀介だなあと感嘆します

道尾秀介さんの作品はダークな雰囲気の小説が多いですが、この小説も例にもれず少し暗めの雰囲気です

 

ですが読後感は素晴らしいの一言!

道尾秀介さん曰く、本作は「向日葵の咲かない夏」に寄せられた読者からの言葉への作者なりの回答であり、同作で伝え切れなかったことを伝えるつもりで執筆された作品だそうです

 

なので先に「向日葵の咲かない夏」を読むことをオススメします!

 

 

www.courageblog.info

 

 

(僕は先に「向日葵の咲かない夏」を読んでから本作を読んだので、読者が求めてたのはこれだ!となりました笑)

 

この本のオススメ度は S

 

 

それではさっそくまいりましょう!

 

 

 

あらすじ

 小学五年生の我茂鳳介は父親の我茂洋一郎とともに母親の葬儀に参列した

 

「人は死んだらどうなるの?」

「いなくなるのよ」

「いなくなって、どうなるの?」

「いなくなって、それだけなの。ーー」

 

この会話から3年後のことだった

 

葬儀がおわり、鳳介は参列していた母親の幼馴染、水城恵に話しかけられた

 

その時、鳳介は奇妙な出来事を体験する

 

まるで映画のように、唐突に目の前におかしな映像が浮かんだのだ

 

我に返った鳳介は恵と別れ、洋一郎とともに葬儀場を去る

 

映像が頭に残る鳳介だが、そのことを洋一郎には伝えなかった

 

しかしその数日後、恵が自殺する

 

「どうか私を連れていってください」

恵は首を回しそちらを見た。恵にはそれが一瞬、無数の流れ星のように見えた。

恵の身体が屋上から地面に向かって落下したのは、その一分後のことだった。

「シャドウ」p.64

 

 

そして連鎖するように次々と鳳介の周りで不幸が起こる

 

父との平凡な暮らしを望んでいた鳳介は苦難の末、驚きの真実にたどり着く

 

感想

二人の視点

本作での主人公は我茂親子の二人です。鳳介の視点と洋一郎の視点で物語が交互に展開して、予想がつかないラストとなります!

 

対比される「向日葵の咲かない夏」では、主人公ミチオの視点だけなので(そこが作品の肝なのですが)よりこの二人の『親子の物語』として感情移入しながら読み進められると思います

 

父の息子を想う気持ち、息子の父を想う気持ちには胸をうたれます…

 

道尾秀介の真骨頂

本作でもあっと驚くような展開が様々な角度から襲いかかります!

 

  • 終盤にかけての伏線回収
  • どんでん返しにつぐどんでん返し

 

道尾秀介ワールド全開ですので、まだ読まれてない方はぜひ!手に取って読んでみてください!

 

 

 

 

 

以下ネタバレ

 

 

ここからは物語の核心にガッツリ触れていきます!

 

未読の方はブラウザバック!

 

 

 

 

 

 

 

どんでん返しにつぐどんでん返し

 

洋一郎が医師ではなかったと判明する場面で驚愕して、最後の最後にそれが全て演技であり、復讐が葬儀のシーンから始まっていた

 

って、ひっくり返りすぎ!と言いたくなります笑

 

ここまで展開がめぐるめぐ変わりながら、隙がない叙述トリックで僕達は見事に騙されてしまう……

この騙される快感が道尾秀介節でしょう!

 

それでいて決して破綻することなくヒントは散りばめられている、恐るべし作家さんです……

 

特筆すべきは真紀を虐待しているのは洋一郎なんじゃないか?と思わせる描写

鳳介の心情の変化が僕達読者にダイレクトに伝わって、洋一郎を疑ってしまいました

 

こういうミスリードがほんとに上手い作家さんですよね!

 

ラストシーン

 

田池が全ての元凶であり、鳳介と真紀が屋上で対峙するシーン

まさに映画を見ているような迫力が文書から伝わってきました!

 

成長した鳳介の心の強さが強調されていて、感動必至!

 

親子の成長

 

自分の行ったことの全てを宝介に話そうとする洋一郎

だが、すでに鳳助はそれに気づいていた

 

眼鏡の奥で、鳳介の眼が優しく笑った。

息子の穏やかな言葉は、洋一郎の胸を射抜いた。

いつのまに鳳介はこんなに強くなったのだろう。

ついこの前まで、守るべき存在でしかなかった鳳介が、いつのまに。

「シャドウ」p.333

 

どんでん返しのその先にある親子愛に心が満たされる素晴らしい小説でした!

 

今回は「シャドウ」 -道尾秀介-を紹介させていただきました!

 

それではみなさまよいミステリ小説ライフを!